こだわり【1】 ~構造材~

手法

kodawari1-1現在、木造住宅については、ごく一部を除いてその大半は構造計算をせずに建設することができる。
それに代わるものとして、「壁量計算」や「偏心率」、耐力壁の壁倍率より柱と横架材(土台・梁)との引き抜き耐力を算定する「N値計算」などの計算手法を用いて担応の強度があるか判断している。

この中の「N値計算」であるが、外力によって変形しようとする際に発生する柱の引き抜き力を規定し、それに見合う金物を基礎や木材に取り付け、その力に抵抗するというものである。
この時問われているのは、取り付ける金物の強度だけであり、それが取り付けられる木については殆んど問題視されていない。

しかし、当然樹種によってその物性値は異なっており、いくら金物や基礎が踏ん張っても肝心の木材が破断してしまっては、それこそ元も子もない筈である。

乾燥材・集成材

期待した強度を発現させるには、相応の安定した品質が要求される。具体的には、含水率を15%以下に落としたKD材(自然乾燥はKD材ではない。含水率もバラつきが大きい。)か、もしくは、強度特性が明らかな集成材という事になるだろう。

kodawari1-2材料の面からみて、安全で丈夫な木の家を造る上で大事なことは「丈夫な木材を使う」「乾燥した材を使う」「使っている木材を腐らないようにする」ことである。

このうちどちらかといえば疎略に扱われるのが、乾燥材(KD材)を使用することである。事実、新築や改築してから早期に起こるトラブルの多くは、乾燥が不十分な部材を使ったことによるものである。
最近では、流通や施工の工法や時間が短縮化され、十分乾いてないままで使用されることが多くなってきている。
集成材を構造用の材料として使う場合、その強さやたわみにくさも重要な性質である。

その特徴は、
【1】在中の節などの欠点を除くか分散させることによって材質の散らばりを小さくすることなり、使っている間の割れや狂いなどを防ぐことができる。
【2】同じ原木から得られた製材と集成材の曲げヤング係数と曲げ強度分布を比べると、集成材では製材に比較して品質の散らばりが少なく、もっと低い品質での耐力性能の値が高くなることもわかっている。
【3】引き板のヤング係数をグレーティングマシンで測定し、製品の耐力要求に応じたグレードの引き板を積層すると、耐力性能が保証できる製品を得ることができる。
などが挙げられる。

普通の木造住宅の柱材に使う小さい断面の構造用集成柱は強度も安定しており、狂いが少ないのでよく使われている。通常、梁にはアカマツやベイマツの無垢材を使うが、この断面寸法の無垢材は乾燥が困難で、施工時に十分乾燥しているものが少なく、施工後に割れなどの損傷が発生しやすい。その点集成材は乾燥材を積層しているので、割れを発生することなく、耐力も保証されている。

集成材は製品強度の変動を少なくすることや、強さの要求に応じて合理的に断面を設計することもできるという利点がある。さらに木材エレメントを乾燥後に集成接着するので、材料内の乾燥度が均一になり、使用中の割れ、狂いなどを防ぐことができる。

同じ原木から作っても、集成材が無垢材に比べて強いといわれるのは、強度を下げる原因となる大きい節などを、フィンガ―ジョイントに替えることによって平均強度を上げることにもあるが、強さの散らばりを無垢材の5~7割まで小さくすることができる。

木の調湿性

木の家が好まれる理由の一つに、木材が室内の温度を調節する作用と、結露を防ぐ働きがあることが挙げられる。

調湿機能や結露の防止を含め、人が住む環境では室内を適度な湿度と湿度に保つことが望まれるが、木材を上手に使うことによって、このような環境を作り出すことができる。

室内の湿度を調節するには、木の壁や床、天井だけでなく、家具や建具などの木製品があれば、この機能を発揮することができる。このためには、室内の体積に比べてできるだけ広い表面積の木材を使うとよい。

このような作用も木の表面のごく薄い層で行なわれており、例えば1日の湿度変動で木材が水分を出し入れするのは、表面からわずか2~3mm程度の深さまでである。従って柱や梁を現した真壁造りの部屋よりも、壁に無垢板を貼った大壁の部屋の方が、何倍も調湿効果が高いということである。